2021.08.12
理学療法学科 教員ブログ
免許取得後、2人目の患者さんはOさんという左大腿切断であり、右変形性膝関節症の骨切り手術予定の方でした。この方は、私が人工関節の動作解析という研究分野に引き込まれるきっかけになった患者さんです。
当時(20年以上前です)の膝関節の高位脛骨骨切り術(High Tibial Osteotomy:HTO)は、体重負荷ができない時期があり、部分的な荷重時期も非常に長く、全身の運動機能の維持・向上に課題がありました。さらに、体重を支えるはずの左足がないため荷重量のコントロールにも非常に苦心しました。
Oさんも新人が担当で不安も強かったと思いますが、私の提案する方法を受け入れていただけました。毎日、病室でOさんと意見交換をさせていただきました。まさに、患者とセラピストの相互理解と協力によって困難を乗り越えることができました。3か月後には無事に自宅並びに社会復帰が叶いました。その後も義足の新調や修正等で何度か入院され、その都度、大変に勉強させていただく機会を得ることができました。
この頃は、8時出勤17時業務終了、その後、病棟巡回し担当患者やその家族、病棟スタッフや主治医と情報交換をし、気づけば20時は過ぎていました。その後、院内図書館や勉強会、研究をすると自宅に帰るときには2、3時というのが当たり前となっていました。あの当時は凄まじく勉強したことを覚えています。唯ひたすらに患者さんのために、他のスタッフに迷惑をかけないように必死だったことを思い出します。かなりきつい日々でした。1人では耐えられなかったと思います。しかし、同期や先輩に支えられ成長できたと思います。
今現在、大学教員という立場にいられるのは当時の新人時代に経験したことが全てと言っても過言ではないと思います。私に成長する機会を与えてくれた担当患者や同僚たちには、心の底から感謝しています。
理学療法学科 准教授 酒井 孝文