2023/01/04

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運動が皮膚創傷後の治癒を早めるしくみについて「Physiological Reports」に発表しました

運動は創傷した皮膚の治癒を早めることが知られていますが、どのようなしくみにより修復が早められるのかについてはほとんど分かっていません。
和歌山県立医科大学付属病院にPTとして勤務する川西先生と作業療法学専攻の上教授らの研究グループは、中等度の運動が皮膚創傷部での抗炎症性サイトカインと血管新生を高め、これが治癒を早める原因であることを突き止めました。
この結果は、アメリカ生理学会の提携ジャーナルである「Physiological Reports」に掲載され、皮膚の創傷治癒に及ぼす運動の新たな効果として注目されています。「皮膚創傷と運動」に興味のある方は(https://doi.org/10.14814/phy2.15447)に是非アクセスしてみてください。

【原著論文】
筆者名:Makoto Kawanishi, Katsuya Kami, Yukihide Nishimura, Kohei Minami, Emiko Senba, Yasunori Umemoto, Tokio Kinoshita, Fumihiro Tajima.
川西誠、上勝也、西村行秀、南晃平、仙波恵美子、梅本安則、木下利喜生、田島文博
筆者区分:Corresponding author: Katsuya Kami
タイトル:Exercise-induced increase in M2 macrophages accelerates wound healing in young mice
「M2マクロファージの運動による増加は若齢マウスの創傷治癒を促進する」
雑誌名:Physiological Reports
巻号:Volume 10, Issue 19.
発行年:October 2022年
URL: https://doi.org/10.14814/phy2.15447 

【概要】
運動は皮膚創傷後の修復を早めるが、そのメカニズムは不明である。
本研究は皮膚創傷後の治癒過程におけるマクロファージ・サブタイプの動員に及ぼす運動の効果を検討するとともに、マクロファージ・サブタイプと血管新生との関係についても明らかにすることを目的として行われた

12週齢のC57BL/6Jマウスの背部に皮膚創傷を作製し、それらを運動群と非運動群に分け、運動群には中等度強度(9m/min, 60分)のトレッドミル走を10日間実施した。
運動は皮膚創傷後の治癒を早め、さらに運動は創傷部位へのM1マクロファージの浸潤を抑制し、M2マクロファージを増加させた。また運動群ではM2マクロファージと血管新生とが有意な正の相関関係を示した。
これらの実験結果に基づき本研究は、M2マクロファージに由来するTGF-が血管新生を促して皮膚創傷後の治癒を早めるために重要な役割を担うことを示唆した。

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